千曲川を見下ろす絶景の畑
長野県上田市の山道を登った先に広がるトゥモローワインのブドウ畑。標高650メートルのこの場所からは、千曲川を挟んで上田市と東御市の美しい景色が一望できます。
対岸にはヴィラデストワイナリーの畑も見え、ワイン作りの地としての魅力を実感させてくれる絶景です。
トゥモローワインでは、ボルドー系品種のメルロー、カベルネソーヴィニヨン、シャルドネなどを育て、その品種をブレンドしたボルドースタイルのワインを作り上げています。
田村夫妻の挑戦と絆
田村さんがワイン作りを志したのは、生レバーの食中毒事件による生肉提供の規制や狂牛病問題で、焼き肉店の経営が厳しくなった頃でした。
そんな中で読んだヴィラデストワイナリーの玉村豊男さんの文章に、「君もヴィンヤードを作りたまえ!」という一節を見つけ、幼少期に山ぶどうでワインを作った記憶がよみがえったと言います。
2016年、54歳で畑作りを始め、週ごとに京都と長野を往復する生活を続けています。
奥様は、畑仕事の休憩にコーヒーを淹れてくれる優しい存在。
「ワイン用ブドウは1回植えたら何もせんでも出来るって(田村さんに)言われて、騙されたのよ。もう、畑はすっごくやることいっぱい!」と笑いながら話す姿が印象的です。人を惹きつける明るさと温かさなのです。
自然と共生するワイン作り
田村さんのワイン作りは、自然との共生を大切にしています。
畑では殺虫剤や除草剤を使わず、生態系を維持しながらブドウを育てています。「その土地のキャラクターが良く出るから」という理由で、極力自然な形でブドウを育て、酸化防止剤の使用も最低限に抑えています。
畑で見られる虫たちをデザインしたラベル「オノヤマビッキ」は、学生の頃をから、絵を描き続けてきた田村さん自らの作品。尾野山地区の土地と自然への愛情が詰まっています。
未来へ向かって進むトゥモローワイン
田村さんのワイン作りには、毎年新しい挑戦があります。「もっとこうしたい」という思いを胸に、満足することなく次の年へ向かって進み続けるのが田村さんの流儀です。
その姿を見て、娘さんもワイン作りに加わる決意を固められたそう。2024年には畑の近くに醸造所が完成予定で、トゥモローワインはさらに進化を遂げていくでしょう。
2024年の夏に、お伺いした際には、「どう?ワイナリー始めるに気になった?」なんて、冗談なのか本当なのか分からないトーンで質問を投げつつ、建設中のワイナリーを見せてくださいました。娘さんからもメールでご連絡を頂いており、今後の展開が楽しみです。