すし、刺身に合う日本ワイン
お寿司やお刺身とワインを合わせたときに、「ん?生臭い!」「ワインが勝ってしまってお刺身が台無し!」となった経験はありませんか?このブログでは、すしや刺身に合わせられるワインの特徴と、おすすめの日本ワインをご紹介します。
目次
お寿司とお刺身には甲州の日本ワインが相性ばつぐん!
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的にも注目されています。「和食」と言えば欠かせないのが、すし、刺身。世界での注目とは裏腹に、日本国内の1人当たりの魚介類消費量は減少し続けているそうです。皆さんはご家庭で、すしや刺身を食べる機会は多いでしょうか?私は、鎌倉という海の近くに住むようになって、明らかに魚を食す機会が増えました。近くの漁港で魚屋さんを覗いた時、活気ある店内で、パックに入ってラップされた切り身ではなく、氷の上でそのままの姿で並んでいる魚たちを見ると、「今日の晩御飯は魚だな!」となります。すしも刺身も、日本の誇るべき食文化。でも、すしや刺身を食べるときにワインを飲んで、せっかくの魚が生臭くなってしまった経験はありませんか?私も以前、子供の卒園のお祝いに、鎌倉のとあるレストランで食事中、提供されたフランスワインの主張が強く、せっかくの美味しいお寿司が台無しになって残念に思った経験があります。
でも、日本ワインに出会って、お寿司の時に甲州というブドウ品種の白ワインを飲むことが多くなりました。これが、全然生臭くならず、むしろ魚介もワインもお互いをより美味しく感じます。
生魚とワインを合わせるとなぜ生臭くなるのか?
いくつかの書籍などで調べてみると、すしや刺身とワインを合わせた際に生臭くなる原因は、ワインに含まれる鉄分が、魚介に含まれる亜鉛や鉄分と反応したり、魚介の脂分を酸化させたりすることで、瞬時にくさい臭いを発生させるというメカニズムだそうです。
ワインに含まれる鉄分の大半は、ブドウの樹が育つ過程で土から吸収されブドウの実に蓄積されています。(その他、肥料や醸造過程で使用する器具から溶出してワインに溶け込むこともあるそうです。)
鉄分の含有量が少ないワインを、すしや刺身に合わせると生臭くない
いずれにしても、ワインに含有される鉄分が反応することで生臭い不快なにおいを発するようです。そのため、すしや刺身に合わせるワインは「鉄分含有量の少ないもの」を選べば、すしや刺身を美味しく食べてワインも楽しめます。
でも、鉄分が少ないワインなんてどうやって選べばいいのでしょうか?
実は、日本ワイン(日本で栽培されたブドウから作られたワイン)は、海外のワインに比べて鉄の含有量が少ないことが分かっています。
ワインの鉄含有量の平均値(mg/L)*1
フランスのワイン 8.81
イタリアのワイン 13.82
日本ワイン(白) 4.1
日本ワイン(甲州の白ワイン) 1.0
日本ワイン(赤) 4.9
日本ワインの白ワイン、とりわけ甲州品種の白ワインは鉄含有量が低いことが分かります。
だから、すしや刺身と一緒に飲んでも美味しく食べて飲むことができるのですね。
小ネタですが、「生ガキにはシャブリ(シャブリ地方のワイン)」という定説があります。シャブリ地方は石灰質でアルカリ性の土壌で、植物が鉄分を吸収しにくいため、ワインの鉄含有量が少ないから、魚介(生ガキ)と合わせて美味しく食べて飲める、ということから言われているのですね。
ワインの鉄含有量は土壌や醸造環境によるところが大きく、生産国だけで一概に言えるものではありませんが、日本ワイン、特に甲州ブドウの白ワインは、すしや刺身と美味しく合わせて頂けます。
すしや刺身と赤ワインを合わせたい場合は、なるべくライトボディのものを合わせる方が、すしや刺身の味を潰しません。マスカットベーリーAという日本固有品種や、ピノノワールという品種の赤ワインは、マグロやカツオ、穴子などと良く合います。
すし、刺身と合う日本ワイン
これまで私たちが食べて飲んでみて、すしや刺身と合うと感じた日本ワインをご紹介します。
〇高級鮨屋にワインを持ち込むなら
〇手巻きパーティーなど人が集まって飲む場合
パキッとした辛口の甲州白ワイン。
〇晩酌で刺身をつまみに飲む場合
甲州ブドウ本来の優しい甘みを感じられる綺麗な1本。
〇赤ワインなら
*1 https://rd.kirinholdings.com/result/story_002.html
(参考資料)
すし・和食のペアリング法則 大江弘明著 旭屋出版