能登を訪れて、1周年に込める想い

目次

1周年を迎えるにあたって

「日本ワイン店じゃん」の店主、加藤曜子です。2025年4月、当店は鎌倉・大町店として1周年を迎えます。

これまで支えてくださったお客様、関わってくださるすべての方に、心から感謝しています。


 活動の原点と、私たちのミッション

私たちは今、「つくり手の情熱と生活者の感動の好循環を生み出す」ことをミッションに掲げ、日本各地の美味しいもの、美しいものを扱っています。

このミッションの原点には、和歌山でみかんを栽培する、店主である私のおばあちゃん家があります。

自然に囲まれた里山の風景、みかん畑、日々の暮らしの中にある知恵と温かさ。そんな風景が昔から大好きでした。

2016年から、会社勤めをする傍らで和歌山のおばあちゃん家のみかんをお手製のECサイトでみかんを販売したことが、私にとって「つくり手と受け手がつながること」の価値を実感した原点となる体験です。

けれど、和歌山のみかん畑も例に漏れず、日本の各地で、美しい里山や営みの一部は、後継者不足や耕作放棄によって少しずつ姿を消しつつあります。

長引くコロナ禍で、密な環境を避けて、鎌倉ほどう近い山梨や長野でキャンプをする中で、日本ワインに出会い、そのレベルの高さに驚きました。

みかんと同じようにもっと多くの人に、日本ワインの美味しさと、つくり手の想いや産地のことを知って欲しい、 「この美しい景色や地域で育まれた営みを、自分の子どもたちの世代に残したい」——そんな想いで、2022年10月、会社を辞め、自宅の玄関先で、ご縁のあった日本ワインを販売し「日本ワイン店じゃん」をスタートさせました。

仕入れ先を増やすために、全国各地のワイナリーを訪ね歩く中で、ワインだけでなく、今まで知り得もしなかった美味しいお酒、食品に出会う貴重な経験を得ました。

産地、生産者との対話を通じて、厳選した美味しい商品を提案することで、お客様となってくれた人が、日本に住んでいることを誇らしく思える時間をつくりたい。

2024年4月、鎌倉市大町に、日本ワイン、日本のこだわりの酒・食料品が揃う角打ち酒屋をリニューアルし、「つくり手の情熱と生活者の感動の好循環を生み出しつづける」ことを私たちの活動のミッションに掲げました。

時に生産者の方から、「じゃんでワインを知って、訪ねてきたお客様がいて嬉しかった、また良いものを造ろうと思えた」と言っていただけることがあります。

こんな時、1杯のワインから生まれる小さなつながりが、地域社会の担い手を少しでも元気にすることが出来ていると信じることができ、私たちは活動を続けています。

一周年の節目に何をするか?

2025年3月のある日、当店1周年をどうするか考えていた時に、ふとテレビから流れてきたニュースの中で、2024年1月に震災があった能登では、まだ仮設住宅で暮らす人たちも多く、インフラすら整っていない状況で、復興がまだまだ進んでいない実情を伝えるものでした。

輪島塗などの伝統工芸や、塩や魚醤づくりといった能登で育まれた営みが、途絶えかかっていました。

私たちは、日本各地の「地域で育まれた営み」に価値を感じて活動しています。だから日本のワイン、クラフトジン、チーズといった商品をこだわって取り扱っています。

そんな私たちだからこそ、1周年という節目の機会で、これまで多くの縁が無かった能登に対しても、何か出来ることはないか、と考えていました。


「今の能登」その現状は?

まずは現状を知ることが大事だと思い、2025年3月末に能登へ向かいました。

訪問したのは、今後当店で取り扱う能登ワイン、そして知人のご縁で伺った魚醤の舳倉屋(へぐらや)、輪島塗の工房キリモト


能登ワインでは、3ヘクタールにわたって整然と植えられたブドウ畑に圧倒されました。


広大な畑の景色は、まるで大きな意志そのもののように感じられました。
聞けば、社長を含めたスタッフ全員が地元・能登出身。ワインづくりの経験がなかったところから、ゼロから挑戦してきたそうです。

試飲の最中、営業の方が胸の前で手をぎゅっと握って「こうやって(こちらまで)来てくれると、ほんとに気持ちが伝わってくるんです」と言ってくれた言葉は、今も胸に残っています。


いしる(魚醤)の舳倉屋では、海沿いの醸造タンクのある場所に案内されました。
車を降りた瞬間、鼻にふわりと届いたのは、いしるの香り。


どこか懐かしく、田舎のおばあちゃんの家を思い出すような、温かくて濃い匂い。
それはこの土地で長く根付いてきた文化そのものの香りでした。

舳倉屋のご夫婦は明るく、訪問した日にボランティアで来ている若者たちに、テキパキと指示を出し、元の通り事業を再開できるよう取り組んでいらっしゃいました。

けれど、ふと足元を見ると、道には大きなひび割れが走り、その上を仮設の水道管が地表に沿って這っていました。

メディアの情報だけでは、震災から1年以上も経過して、もう復興しているだろうと勝手に思ってしまっていましたが、
全壊したままの家がそのままになっていたり、信号も傾いたままだったり、亀裂の入った道が通れないままだったり…。
「復興」はまだまだ、遠い未来のようにも感じました。

舳倉屋の奥様から、ご近所に住んでいた、とてもシャキシャキしていたおばあちゃんが、長いホテル暮らしで覇気が無くなってしまったことや、仮住まいの金沢にあるホテルから能登まで戻ってくることが困難で、倒壊した家屋の解体手続きも進まず放置されてしまっている現状を教えてもらいました。


そして、輪島塗のキリモトへ。こちらは、当店がイベント等でお世話になっている横須賀にある掛田商店の掛田薫さんに紹介いただきました。

工房のすぐ横にあった自宅は全壊し、現在は職人たちが仮設の建物で作業を続けています。


応対してくださった社長夫人は大阪出身の方で、やわらかな関西弁で震災の様子を語ってくださいました。
その言葉の端々に、声色や目力に、熱がにじんでいて、伝わってくるエネルギーに思わず息をのみました。

震災による被害ももちろんですが、2024年9月に追い打ちをかけるように能登を襲った水害により、復興に向けて頑張っていた人たちの気持ちが、「ポキッ、ポキッと折れていってしまった」そうです。

「でも…止まれないんです。前へ進んでいかんと、あかん」

社長夫人のその一言に、どれだけの想いが込められていたか。
従業員を抱える経営者として、事業活動をしなければいけない重圧や焦り、思うようにいかないもどかしさなどを感じながら、それでも前を向いて進む、能登の人たちの強いエネルギーがそこには満ち溢れていました。


つながりが、力になる

まだまだ復興が進んでいない状況や、そこで前を見続ける人たちのエネルギー。

1周年イベントでは、2024年4月の開店以来、当店でつながった多くのお客様と、いまの能登の状況を共有したいと思います。

日本ワイン店じゃんを運営する株式会社ケイワイプラスの名刺の裏には「集って、食べて飲んで、こころ満たされる」という創りたいビジョンが書いてあります。

訪問時、これを読んだキリモトの奥様が、「すごく良い活動をされてますね、(震災にあって)これが出来ないことが一番辛いです。」と仰ったのが印象的でした。

4/12,4/13の二日間のイベントでは記念Tシャツを販売し、この利益を能登の復興支援に用います。

記念Tシャツの販売の他、能登ワインやいしるの販売や提供の他、能登で撮影した写真の展示なども行う予定です。

春のお忙しい時期とは思いますが、一瞬でも、顔を出していただけたら大変嬉しいです。スタッフ一同、心よりお待ちしております。


能登チャリティ ― つながりを力に変える2日間
2025年4月12日(土)・13日(日)
鎌倉・日本ワイン店じゃんにて
14:00-21:00(L.O.20:00)
*混雑する場合、椅子の数を減らしての営業となりますので立食になる場合がございます。5席までご予約を受け付けます。


お問い合わせなどは公式LINEまで。


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