日本ワインで良く聞く「甲州」の正体を解説!

 日本ワインの世界を覗いてみると、最初に良く聞くワードは「甲州」ではないかと思います。「そもそも甲州って地名?何のこと?」と思っている方もいるはず。今回は、読者の皆さんが当店にご来店いただいたと想定して、商品棚に並ぶワインを見ながら、甲州の奥深さをお伝えしていきます。

甲州とは何のこと?

 よく聞く「甲州」は、ブドウの品種名です。ワインの原料となるブドウには赤ワイン用、白ワイン用合わせて世界には数えきれないほどの品種があります。シャルドネやカベルネソーヴィニヨンなどは有名な国際品種ですね。その中で、日本固有の品種のうちの1つが「甲州」。白ワイン用のブドウ品種で、甲州からつくられるワインは、和柑橘の香りがして、日本酒のような味わいになる等、和食に合う繊細な美味しさのワインと言われています。

甲州ブドウ

↑甲州ブドウ

 2013年に甲州の詳細なDNA解析が行われた結果、甲州はヨーロッパ系品種に、中国の野生種のぶどうのDNAが少し含まれる事が判明しました。甲州はヨーロッパからシルクロードを長い長い時間をかけて渡り、日本にたどりつき定着したブドウなのですね。

 現在、日本でもシャルドネやカベルネといった国際品種も栽培されていますが、甲州は耐病性があるため湿気の多い日本でも育てやすく、日本では最も多く生産されているワイン用ブドウ品種です(国内で生産されるワイン用ブドウの約15%が甲州)。

棚仕立てで栽培される事が多い甲州

↑このように棚仕立てで栽培される事が多い甲州

甲州の産地は山梨県だけ?

 それでは当店の商品棚をご覧ください。

当店の商品棚。★印が甲州ワイン。

★印を付けた商品が甲州ブドウのワインです。当店は日本ワイン専門なので、甲州ワインの比率が高いです。★印のうち、水色の★印が山梨県のものです。山梨県甲州市勝沼町を中心とする甲府盆地は、昔から甲州ブドウの産地として栄え、今も日本で栽培される甲州ブドウの9割は山梨県産です。山梨県のつくり手の方を訪問してお話を伺うと、代々この地で作られてきた品種である甲州と、それを育てる契約農家さんをとても大事にされていることが良く分かります。

 日本の甲州は殆どが山梨県で作られますが、北は山形県、南は宮崎県まで、他の地域で栽培された甲州によるワインもあります。海外のワインは、産地名を言われてもあまりイメージが湧きませんが、日本ワインは「長野県と宮崎県」と言われれば、その土地の気候風土の違いをイメージしやすく、違いを楽しむことができます。山梨県の甲州ワインと比べて、長野県や山形県の甲州ワインはキレイな酸味が際立ち、宮崎県の甲州ワインはトロピカルな風合いに感じます。

●当店で扱っている山形県の甲州ワインはこちら👇

 

 

●当店で扱っている長野県の甲州ワインはこちら👇

 

 

●当店で扱っている宮崎県の甲州ワインは"Coming soon!!"

同じ甲州ブドウでもワインの作り方で味は変わる?

 ブドウを醸造しワインをつくる過程で、醸造家は、ブドウからどれくらい果汁を絞るのか、果皮や種は取り除くのか、どれくらいの期間熟成させるのかなど、非常に多くの判断を迫られます。同じブドウからでも、製法の違いによって味わいも全く違うものになるのがワインの面白いところです。当店で扱っている甲州ワインの中から製法別に商品を紹介していきます。

まずはシュールリーという製法。醸造過程で発生する澱(オリ)を取り除かず、そのまま一緒に熟成させる方法です。この製法で作られた甲州ワインは、コクや旨味が深まり、ふくよかな味わい。出汁やお鍋などと相性抜群です。

シュールリー製法の甲州ワイン(白百合醸造/山梨県の「勝沼甲州」)

 

 

 

次は樽で発酵させる製法。ステンレスタンクではなく、樽を使って発酵させることで、樽由来の香りが加わり、厚みのある白ワインになります。鶏肉や厚めの豚肉を塩コショウでシンプルに焼いた料理など、お肉料理と合わせて飲んでも、お肉の脂に負けない甲州ワインです。

●樽で発酵させた甲州ワイン(ダイヤモンド酒造/山梨県の「甲州 樽発酵」)

 

甲州樽発酵

 

最後はブドウの果皮を果汁に漬け込んで一緒に発酵させる方法。ブドウの皮(スキン)を漬けるのでスキンコンタクトと言います。この製法でつくられたワインは、「オレンジワイン」というカテゴリで呼ばれることもあります。

ワインの色も透明ではなく、皮によって色づき、薄いピンクや薄いオレンジ色になります。果皮由来のほろ苦さが味わいに現れ、苦みのある山菜や香ばしい揚げ物などと相性抜群です。

●果皮を漬け込んだ甲州ワイン(駒園ヴィンヤード/山梨県「Pony桜花」)

 

Pony桜花

 

甲州に合わせてピッタリの料理は何?

 甲州ワインはスッキリとした繊細な味わい。キレも良く、和食との相性が抜群です。お刺身やお蕎麦など、日本酒でも合いそうなお料理であれば甲州ワインとの組合せは良いでしょう。焼き鳥や天ぷらの場合は塩で食べる時が甲州ワインの出番です。お出汁との相性も良いので、おでんやお鍋、お浸しにも良く合います。

以前、山梨県でこんなポスターを見つけました。

甲州に合う料理

山梨県では昔から、一升瓶に入った甲州ワインをコップに注いで晩酌で飲んでいたそうです。日本の食卓にのぼる料理全般に相性が良い甲州ワイン、皆様も是非日常に取り入れてみてください。

甲州ワイン一覧はこちら


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