ワインのヴィンテージって、何のこと?その意味を解説
目次
ワインのヴィンテージとは?ぶどうの収穫年を指す言葉
ワインのヴィンテージとは、”ぶどうの収穫年”を指す言葉です。ワインはブドウ100%で出来ているお酒ですから、その年の気象条件や土壌の影響を反映するヴィンテージは、ワインの味わいや特性に大きな影響を与えます。
ヴィンテージがワインに与える影響としては、気象条件の影響が大きいです。ヴィンテージは、収穫時の気温、降水量、日照時間などの気象条件に大きく左右されます。例えば、暖かい年のワインは果実味が豊かで濃厚なことが多く、寒冷な年のワインは酸味が際立つことがあります。その年の気象条件が、ブドウの糖度や酸味に大きく影響し、結果としてワインの味わいに反映されます。
ヴィンテージはワインの保存性にも影響を与えます。一部のワインは、特定のヴィンテージのものが長期間の熟成に適していることがあります。これは、その年の特別な条件によって可能になり、良いヴィンテージのものがより価値が高くなることがあります。
なぜヴィンテージをワインラベルに表記するの?
ヴィンテージはワインラベルに記載されており、年が表示されています。
ヴィンテージを表記する主な理由は、ご説明したように、ヴィンテージがワインの品質と特性に大きな影響を与えるため、収穫年を知らせるためです。ワインはヴィンテージごとに多少なりとも異なる味わいが生まれます。ヴィンテージ表記は、私たち飲み手に、それぞれのワインがどのように異なるかを示す手段として役立っているのです。
「垂直飲み」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。これは、同じ生産者の異なるヴィンテージのワインを飲み比べることを言います。
また、ワイン愛好家にとっては、ヴィンテージをコレクションや投資の指標としているケースもあります。また、一部のワイン生産地域では、法的要件に基づいてヴィンテージを表記することが義務付けられています。
ヴィンテージ表記は、ワインの情報を透明にし、消費者が適切な選択をするのに役立つ重要な要素とも言えるのですね。
ノンヴィンテージ(NV)のワインとは?
ノンヴィンテージ(Non-Vintage、NVと略されることもあります)のワインは、特定の年の収穫年を表記しない、混合ワインまたは多年物ワインです。複数の収穫年からぶどうをブレンドして作られることが一般的です。これにより、ワインメーカーは一貫性のある味わいを維持しやすくなります。特定のヴィンテージに依存しないため、年ごとの気象変動に左右されにくい特性があります。多くのスパークリングワインやシェリー、一部のシャンパーニュなどがノンヴィンテージワインとして知られています。これらのワインは、消費者に一定の品質と味わいを提供しやすくするために、あえて異なる年のワインをブレンドして均一性を保っています。
古い方が価格が高いワインになるのは何故?
古いワインが高価である理由にはいくつかの要因が絡んでいますが、主な理由は、熟成による価値の向上です。多くのワインは瓶内で熟成することで、風味や香りがより複雑で洗練されたものに変化します。時間と共にワインが熟成すると、タンニンが柔らかくなり、酸味や果実味が調和し、新たな風味が現れます。これにより、古いワインは、より豊かで魅力的な味わいを持つことがあり、そのため高価になります。
上記に加え、販売から時間が経過し在庫数が限られてくる「希少性」が価格に反映されます。そして、販売までの長期間にわたり温度と湿度を管理するための設備やスペースにかかる保存コストが反映されることもあります。
これらの理由が合わさって、古いほど高価になっています。
(もちろん、高価なワインが必ずしも高品質であるわけではなく、ワインの価格は個々の好みや需要と供給にも影響を受けます。)
ワインは年に1回しか仕込みをできない、農作物であるブドウだけを使って作られるお酒です。つくり手の方を訪ねると、皆さん「良いワインは良いブドウから」と仰います。ワインにおける”ヴィンテージ”がその表現にとって重要な役割を果たしていることが良く分かりますね。現代日本ワインの父と言われる浅井宇介氏も、「ブドウのポテンシャルをいかに引き出すかが醸造の役割であって、醸造技術がワインをつくるのではない」と語っています。(浅井宇介氏については、こちらのブログを参照してください。)
皆さんも、好きなつくり手が出来たら、ヴィンテージを気にして飲んでみるのも楽しいかもしれません。毎年のつくり手からのリリースが待ち遠しくなりますよ。