
勝沼の丘に佇む、シャトージュン
猛暑の気温34度に達した2023年7月、シャトージュンのワイナリーを訪問しました。勝沼インターを降り、ぶどう畑が左右に広がる美しい道を進むこと10分。
"勝沼ぶどうの丘"のふもとにあるこのワイナリーは、緑豊かな自然に囲まれた静かな場所に位置しています。初めて目にしたワイナリーの外観は、まるで日常から切り離された特別な空間。その佇まいに心が奪われます。
JALの国際便やG20大阪サミットの夕食会で採用された実績があるという話を聞き、期待が高まります。
ワインと日常を結ぶ情熱
シャトージュンは、アパレルブランド「アダム エ ロペ」などを展開するジュングループが設立したワイナリーです。
44年前、ワインがまだ日本の生活に馴染んでいない時代に、「日常にワインを取り入れる新しいライフスタイルを提案したい」という想いで創業されました。
訪問時にお会いした栽培醸造責任者の仁林さんは、農政課職員から農業研修生となり、勝沼でブドウ作りに没頭した経験を持つ方です。
仁林さんは、勝沼町にある老舗ワイナリー「原茂ワイン」での研修を通じて、ブドウ栽培とワイン作りを一から学びました。
勝沼の風土と共に生きる原茂夫妻の日常を間近で体験した仁林さんは、「肩肘張らずに晩ご飯と一緒に飲むワインが美味しいんですよね」と笑顔で語ります。その経験は、シャトージュンでのワイン作りにも大きな影響を与えています。
畑から生まれる一杯の物語
シャトージュンでは、地元農家から仕入れる甲州ブドウと、自社畑で育てる品種の両方を使用しています。訪問時に見せていただいた自社畑では、栽培の難しいピノノワールとセミヨンに取り組んでおり、有機栽培を実践しているとのこと。
仁林さん自ら新しい栽培方法を試すことで、ワイン作りの可能性を広げています。
シャトージュンの主力商品である甲州の白ワインは、華やかな香りと伸びやかな酸味が特徴です。また、2005年から試行錯誤を重ねて完成させたセミヨン品種を使った白ワインは、「時間を超えられるワイン」を目指して作られた逸品です。
テイスティングでいただいたそのワインは、エレガントな香りと重厚な味わいで、思わずお土産に購入したほど心を掴まれました。


時を越え、未来へ紡ぐワイン作り
シャトージュンさんの主力商品である甲州の白ワインは、甲州ワインの中では比較的香りも華やかで、伸びやかな酸味の美味しさ。
さらに「時間を超えられる」ことにこそ、ワインの楽しみがあると考え、長期熟成に耐える高級品種としてセミヨン品種に力を入れています。
訪問中、ワイナリー全体から伝わってきたのは、地域の風土を大切にしながら、新しいライフスタイルを提案し続ける挑戦の姿勢でした。