京都府
丹波ワイン
京都で、「和食に、京都の食文化に合うワインを創る」というコンセプトのもとワインをつくり続けて40年以上の老舗ワイナリー。50品種ものブドウを自社栽培する拘りの実力派ワイナリーです。
京都・丹波から始まる、日本人のためのワイン
京都府船井郡丹波町。都会の喧騒を離れ、峠を越えた先に広がるのは、美しい田園風景と昔ながらの民家が点在するのどかな里山。
その一角に位置するのが、丹波ワインです。車を走らせてたどり着いたとき、隣には意外にも大きな工場が佇み、その隣にひっそりとワイナリーが構えていました。
創業は1979年。もう40年以上も続く老舗ワイナリーの原点を訪れると、ワイン造りの深い歴史とその土地ならではのストーリーに胸が高鳴ります。
日本の食卓に寄り添う、創業者の熱い想い
丹波ワインの創業者、黒井哲夫さんは、かつて電機メーカーの社長としてヨーロッパを訪れた際に、現地の食文化とワインの奥深さに感銘を受けました。
しかし、その感動を日本に持ち帰り味わった際、「何かが違う」と感じたそうです。それは、ワインにおける"テロワール"の違い。黒井さんは「日本で、日本人の食卓に合うワインを作りたい」という強い思いを抱き、会社を離れ私財を投げ打ってワイナリーを設立しました。
設立当初は、雨の多い丹波でのブドウ栽培に多くの課題がありましたが、黒井さんの情熱と挑戦心は揺るぎませんでした。当時の日本酒の酒蔵を活用したホーロータンクを使い始めた醸造は、まさに試行錯誤の連続。その姿勢は、現在の丹波ワインの礎となっています。
丹波ワインの魅力を生む、50種のブドウ
現在、自社畑では約50種類のブドウが栽培されています。これは、「和食に、京都の食文化に合うワインを創る」という初代からの哲学に基づくもの。
畑を管理する末田さんは、創業初期から活躍する栽培のスペシャリストです。さらに、台木(ブドウ苗の基部)から自ら研究し、地元の風土に最適な品種を追求する姿勢には驚かされます。
中でも人気の「てぐみ30」は、30種類のブドウを一緒に醸造して造られる微発泡にごりワイン。瓶内で発酵が続くことで生まれる独特の炭酸と、ビールのような喉越しが特徴です。
この一本は、和食やおばんざいメニューと相性抜群です。
おばんざいとは、京都の家庭で日常的に作られるお惣菜のことで、素朴ながら素材の持ち味を活かした味わい深い料理です。
「和食に、京都の食文化に合うワインを創る」という理念のもと、このワインは見事にその役割を果たしています。
また、この「てぐみ」シリーズを開発したのは、丹波ワインの女性醸造長です。彼女の挑戦と創意工夫が、日本の食文化に新たな価値を吹き込みます。
「でぐみ」の未来
現在の丹波ワインは、年間40万本を生産する国内有数のワイナリーへと成長しましたが、その根底にあるのは創業者から引き継がれた「日本人のためのワインを」という理念です。
里山の風景とともに育まれるワインは、ただの飲み物ではなく、日本の食卓に新たな文化をもたらす存在です。丹波ワインが紡ぐ未来の物語が楽しみでなりません。