海街ワイナリー・スリーピークス
岩手県大船渡市の港町、海からわずか100メートルに位置する「スリーピークス」は、潮風と自然に囲まれたワイナリーです。
2023年12月、東北新幹線で新花巻駅に降り立ち、三陸地方をドライブすること約3時間。
訪れた瞬間、車のドアを開けると涼しい潮の香りが漂い、背景には赤白の煙突が立つ光景が広がります。
三角屋根が特徴的なデザイナーズハウス風の建物は、訪れる人々を温かく迎えてくれます。
故郷への想いが生んだ挑戦
「観光に頼るのではなく、人が根付く事業を立ち上げたい」という想いを背に、スリーピークスはスタートしました。
震災後の復興支援に採わる中で、大船渡の産業が衰退していく現実に直面。2014年、地域に新しい恵みをもたらすため、ブドウとリンゴの栽培を始めました。
特にリンゴは、陸前高田で借りた畑で栽培されており、お母様の名前を取って「りんご屋まち子」と名付けられたシードルやジュースの原料になっています。
家族で営むワイナリーでは、大地の恵みと人々のつながりを大切にしたものづくりが続けられています。
地元と世界をつなぐ味わい
スリーピークスのシードル「りんご屋まち子」は、エチケットに家族と地域への愛情を表現したイラストが描かれています。その味わいは、口当たりもよく、どこか憧かしさを感じさせます。
2023年に開催された「広島サミット」でも提供され、海外のゲストからも高い評価を収めました。
また、スッキリとした味わいが特徴のワインは、三陸の新鮮な魚介類との相性が抜群です。地域の自然が育んだシードルとワインがが、多くの人々に感動を届けています。
持続可能な未来への挑戦
スリーピークスでは、ワインやシードルの制造にとどまらず、地域資源を活用した持続可能な取り組みを進めています。
リンゴの搾りカスを地元のウニやアワビの養殖に活用する試みや、ブドウ棚の上にソーラーシェアリング設備を設置するプロジェクトなど、環境と地域の調和を目指した活動が展開されています。
さらに、過疎化が進む地域で廃校となった小中学校を活用した新事業の構想も進行中です。これらの取り組みは、大船渡の未来を見據えたものであり、新しい産業を創出するリーダーシップに目が離せないです。