島根の優しさと努力が詰まったワイン
島根県出雲市にある島根ワイナリーは、観光地として出雲を代表する存在です。出雲空港から車で30分ほど、田んぼが広がるのどかな風景を抜けると、大きな看板と広々とした駐車場が目に飛び込んできます。
テーマパークのような敷地には、「バーベキューハウス」や「試飲即売館」などの施設があり、観光客を温かく迎える仕掛けが満載です。
島根の特産品と契約農家の絆
島根ワイナリーの歴史は昭和34年に始まり、江戸時代後期から栽培されてきた島根特産のデラウェア品種を活用したワイン作りがそのルーツです。
その後、昭和61年に現在の場所に移転し、ブドウ栽培、醸造、観光を融合させた複合施設として成長を遂げました。
現在、契約農家は40軒以上にのぼり、島根産ブドウだけを使ったワイン作りが続けられています。
年間生産量は驚きの30万本に達し、地域と農家との強い信頼関係がその基盤となっています。
高品質を目指した挑戦
かつては甘味果実酒が主力だった島根ワイナリー。しかし2008年頃、「これではいけない」と品質向上への挑戦が始まりました。
自社畑を持ち、高品質なワインを目指すべく試行錯誤を繰り返し、契約農家とも意見をぶつけ合いながら改善を重ねていきました。
その結果、2019年の日本ワインコンクールで「縁結 甲州2018」が部門最高賞金賞を受賞。この快挙は、島根ワインが日本中で注目される大きなきっかけとなりました。
「うちはお土産ワインのイメージが強いので、受賞はとても嬉しかったですね。」と足立さんも仰っていました。
製造部長の足立さんは、昭和62年の入社以来36年間ワイン作りに携わっています。
「契約農家さんと喧々諤々の日々もありましたが、それも良い思い出ですね。」と語る足立さんの温和な笑顔には、長年の努力と誇りが滲んでいます。
優しさを感じるワインたち
島根ワイナリーのワインはどれも優しい味わいが特徴です。酸度を重視して収穫されたブドウがもたらすキレの良さと、料理を引き立てる控えめな個性が魅力です。特に「縁結 甲州」は、日本酒のように透明感のある色合いと、柑橘の香り、口当たりの優しさが絶妙なバランスで、お料理に寄り添う一杯です。
もう一つ特筆すべきは、シャンパーニュ方式で造られるスパークリングワイン。デラウェアを使用したスパークリングは、細やかな泡立ちと爽やかな風味で、多くの人を魅了しています。
島根弁が飛び交う温かな雰囲気の中で試飲を楽しんでいると、まるで実家のこたつにいるような安心感を覚えました。島根の風土と人々の優しさを体現する島根ワイナリーのワインを、ぜひ味わってみてください。