古き良き醸造所から生まれる、キリリとしたワイン
山梨県甲州市塩山地区に位置する「塩山洋酒醸造株式会社」は、1959年から代々家族で営む小さなワイナリー。
ブドウ畑と古い民家が並ぶのどかな風景の中、石垣沿いの細い道を進むと、縦書きで書かれた「塩山洋酒醸造株式会社」の看板が迎えてくれます。
プレハブ屋根の下に並ぶ古いタンクと裸電球が吊るされた醸造所は、どこか懐かしく温かみを感じる佇まい。
その一方で、ここから生まれるワインは驚くほどクリーンでキレのある味わいです。
創意工夫で生まれる自由な挑戦
現在、塩山洋酒を切り盛りするのは3代目社長の萩原さん。古い設備のまま、環境に言い訳しないワイン作りを貫いています。
「設備が古く機材レベルは低いですが、それを楽しむのが僕の仕事です」と話す萩原さん。
例えば、最新のステンレスタンクがボタン一つで温度制御を行うのに対し、古いタンクではホースを巻きつけて水を流し発酵温度を調整しています。
このような創意工夫と試行錯誤が、塩山洋酒ならではのワインを支えています。
醸造所の奥にある、まるで理科室のような研究室では、様々な挑戦が進行中。
小さな家族経営のワイナリーだからこそ可能な柔軟な取り組みが、萩原さんの自由で前向きな姿勢によって実現しています。
自由さを武器に
萩原さんの人柄は、ワイナリー全体に清々しさをもたらしています。雑然とした古い醸造所も、どこか爽やかで清潔感を感じるのは、彼の誠実さと明るい対応によるものでしょう。
ブドウ果汁をどこまで絞るか、除梗するか否かなど、年に一度の仕込みの際には一つ一つの工程に真剣に向き合い、新たな挑戦を重ねています。
その誠実さは、私たち酒販店や消費者に対しても変わりません。一人ひとりの声に耳を傾け、自由な発想を大切にしながらも、ブレない姿勢でワイン作りに取り組んでいます。
良い意味で衝撃的な甲州ワイン
塩山洋酒のワインは、全て山梨県内のブドウで作られています。昔ながらの甲州やマスカットベリーAといった品種を大切にしつつ、その可能性を追求したワイン作りが特徴です。
特におすすめなのが「SALZ BERG」という甲州ブドウから作られる白ワイン。キリリと辛口でありながら、ミネラル感がたっぷり感じられる一杯は、まさに萩原さんの爽やかでハツラツとした人柄を体現しているようです。
古い醸造所と最新の挑戦が交差する塩山洋酒醸造のワイン。ぜひその味わいを通じて、萩原さんの情熱と自由な精神に触れてみてください。