長野の塩尻・片丘地区に佇むワイナリー
長野県塩尻市、松本盆地に広がる片丘地区に、ドメーヌコーセイは位置しています。日照時間が長く、しっかりと風が吹くこの地域は、ブドウ栽培に理想的な環境を提供しているそうです。2022年夏、この地を訪れました。
塩尻駅に降り立った瞬間、湿度が低く清々しい風が心地よく、なんとなく、この場所がワインの名醸地であることを実感。
出迎えてくれたのは、シャトーメルシャンの元醸造長である味村興成さん。「きっとメルシャンでえらい方だったろうから、エレガントで厳格そうな方なんだろうな」という予想に反して、小柄で穏やかな笑顔を浮かべた優しい方で、その人柄にすぐに引き込まれました。
長年の経験からにじみ出る落ち着きと、ワインづくりに対する真摯な情熱が言葉の端々に表れています。
仕事人・味村さんのワインに注ぐ情熱
味村さんの塩尻でのワイン作りへの情熱は、そのキャリアに根ざしています。
1988年、フランスのボルドー大学に留学した際には、猛勉強して、ボルドー大学認定のテイスティング試験に合格しました。特に、当時、0歳のお子様が寝静まった後、夜遅くまで勉強しなければならなかったそうです。
その際、奥様から「試験に落ちたらエルメスのバッグを買ってよ!」と冗談交じりに言われ、必死に学び続けたエピソードを語ってくださいました。
シャトーメルシャンでの醸造責任者としての経験を経て、2000年代前半にドメーヌコーセイを設立しました。塩尻市の片丘地区という場所。
味村さんは、ワイン作りにおいても妥協を許さない姿勢を貫いています。常に最良の選択をし、ワインの品質にこだわり続けている姿は、まさに「仕事人」。
深い経験と知識から生み出されるワインは、まさに仕事人として集大成であり、味村さん自身の人生そのものが反映されています。
こだわり抜かれた片丘のメルロー
ドメーヌ コーセイのワインは、しっかりとした飲みごたえが特徴です。特に、赤ワインの「401」「503」「601」の3種類は、メルロー100%で作られ、樽ごとに異なる風味を楽しめます。
味村さんの選び抜いた最新の醸造設備を使用して作られています。収穫したブドウはまず選果され、未熟な実や傷んだものは取り除かれ、ブドウはすぐに丁寧に絞り、余分に果汁を絞らず、上質な果汁だけを使用します。こうして得られた果汁は、味村さんが選んだ最高級の樽で熟成されます。
「401」はアメリカンオーク、「601」はフレンチオークで熟成され、「503」はその2つをブレンドしたユニークなワインです。
これらはすべて、割り切れない素数を名前に冠しており、ワインそのものが持つ神秘性を表現しています。
各樽ごとの違いを楽しみながら、メルローの深みと豊かさを堪能できます。
世界の片岡と言わしめたい
味村さんの夢は、メルローの名産地として片丘地区を世界に知らしめることです。「いつか桔梗ヶ原と同じように、メルロなら片丘、と言ってもらえるようにしたい」という思いを胸に、日々ワイン作りに取り組んでいます。
そして、日本ワインを通じて、より多くの人々に日本のワインの魅力を伝えるため、ご自身で全国に足を運んで、ワインづくりへの情熱を飲み手に伝えています。
鎌倉にも何度も足を運んでくださっており、本当に味村さんの情熱と行動力には見習うことがばかり!