雪が降りしきる山形県南陽市
2024年1月半ばの寒い時期、山形新幹線の赤湯駅からタクシーで25分ほど移動した場所にあるグレープリパブリック。移動した当日は、雪がしんしんと降りしきる真冬の一日。前日まで借りていたレンタカーでの移動を諦めて、タクシーに乗って移動するものの、ワイナリーに向かう手前にある鳥上坂という急坂では、地元ドライバーによる反対車線の車も慎重なさすがにのろのろ運転でした。
イタリアンレストランのグループのオーナーが抱く使命
当日、ワイナリーと畑を案内してくれたのは、営業で広報担当の三ヶ山さん。お話を伺うと、グレープリパブリックは、東京・神奈川・大阪にイタリアンレストランを展開するサローネグループのオーナーが立ち上げたそう。
オーナーのお母様のご実家がこの山形県南陽市にあり、東日本大震災時には、この南陽市を起点に、東北への支援を起こったようですが、伝統的なブドウ産地だった南陽の地も、例外に漏れず進行する高齢化、過疎化により、ブドウ栽培の担い手がおらず、ブドウ畑が耕作放棄地となるか、もしくは、ブドウの木が切られていくという状況でした。
同オーナーは、南陽市で新規就農者、新規ワイナリーを増やし、ツーリズムや、名産品も生み出して、この街を”ぶどう共和国=GRAPEREPUBLIC(グレープリパブリック)”としたい想いから、2017年に立ち上げられたのが、このワイナリーです。
“Made of 100% Grapes”のワイン
グレープリパブリックのワインは、 “Made of 100% Grapes”と表現されます。南陽市の風土を生かしたワインをつくりたいという想いから、ブドウづくり、ワインつくりの過程には余計なものは加えられません。自社の畑には、農薬、除草剤、殺虫剤は使われず、ワインは、天然の酵母で発酵させ、酸化防止剤は使用せず、補酸、補糖もしておりません。
また、このグレープリパブリックで特徴的なのは、陶器の壺を地中に埋めてアンフォラ醸造。8000年以上前からアンフォラを使った製法で作られたワインは、丸い味わいで複雑味もあるようです。
若手が担うワインづくり
現在、グレープリパブリックでワインを醸造するのは、平成生まれの矢野陽之さん。「ブドウの本来の果実味を感じるクリーンな仕上がりを目指している」とおっしゃっていましたが、ちょうど、当日に買って持ち帰ったワインは、様々な醸造方法で作ったスチューベン、デラウェア、メルロをブレントしたもの。とても、フレッシュで、やや甘酸っぱい果実味もある薄旨なワインでした。
私が訪問したのち、2月にはイタリアのボローニャでスローワインのイベントに参加、その後は、ニュージーランドで醸造の研修と大忙し。醸造責任者の矢野さん、営業・広報の三ヶ山さん、その他、栽培のメンバーも若手が中心。今後、皆さんが更なる研鑽を積んで、磨き上げられていくワインづくりが楽しみでしかたありません。