勝沼による、勝沼のための老舗ワイナリー
山梨県甲州市勝沼町に位置する白百合醸造は、1938年創業の老舗ワイナリーです。高速道路の勝沼インターを降りると、通り沿いに広がる昔ながらのぶどう園とワイナリーが密集するエリアの中心にあります。
創業から80年以上、勝沼の地元農家とともに歩み、この地を大切に守り続けてきたワイナリーです。
地元農家との信頼関係が紡ぐワイン
白百合醸造のワインに使われるブドウの約7割は契約農家からのものです。創業当初からのポリシーとして、契約農家のブドウは品質や出来栄えに関わらず、全量を買い取る方針を守り続けています。
私が訪問した9月中旬、ちょうど収穫期の真っ最中で、ブドウを運んでくる農家さんとスタッフの方々が笑顔で言葉を交わす姿から、深い信頼と絆が感じられました。
特に印象に残ったのは「甲州Vigne de Nakagawa」という白ワイン。契約農家の中川さんが育てた甲州ブドウのみを使い、その名前が商品名になっています。
中川さんは御年88歳(2022年現在)ながら、背筋がピンと伸びた姿で畑を案内してくださり、「甲州にここまで手をかける農家はいないよ」と笑顔で語る姿が印象的でした。
その味わいは、まさに中川さんの人柄を映し出すかのような、すっと背筋が伸びるような上品さが特徴です。
ワイナリーはワインの産婆さん
白百合醸造の三代目社長である内田多加夫さんは、「ワイナリー名を押し出すのではなく、勝沼という土地そのものを感じてほしい」と語ります。
内田社長は、ワインの生みの親はブドウであり、ワイナリーはその助産師のような存在だと考えています。ワイナリーで働くスタッフもみな気さくで温かく、訪れた人々をまるで故郷のように迎え入れてくれる場所です。
訪問時には、ワイナリーの入り口にあるブドウのアーチからひと房を取って「子供さんにあげて」と渡してくださるなど、心温まるおもてなしも体験しました。
こうした地元とのつながりを大切にした姿勢が、白百合醸造の魅力をさらに引き立てています。
勝沼から広がる美味しさ
白百合醸造のフラッグシップ商品「ロリアン勝沼甲州」は、産地名を冠した特別なワインです。
「ロリアン」はフランス語で「東洋」を意味し、日本らしさと勝沼らしさを追求したこのワインは、日本酒以上に和食に合うとの評判です。
創業から80年以上、地元の勝沼を愛し、農家とともに築き上げてきた白百合醸造。そのワインは勝沼の自然や人々の想いをそのままボトルに閉じ込めたような味わいです。ぜひ、一度購入してその想いを体験してみて下さい。