魅力溢れる「アンワイナリー」
長野県小諸市に佇む「アンワイナリー」は、しなの鉄道・小諸駅から徒歩わずか5分の距離に位置し、駅近ながらもフランスの田舎を彷彿とさせる静かな雰囲気が広がります。
収穫を終えた11月末、訪れた私たちを迎えてくれたのは、優しさと情熱を兼ね備えた代表の松村清美さん。
空き家をリノベーションした醸造所とショップ、そして宿泊施設も兼ね備えたこの場所は、小諸を訪れる人々にほっとひと息つける安らぎの空間と時間を提供しています。
日本の田園風景を未来へ
松村さんは男の子たちのお母さんであり、自然豊かな環境での子育てを目指して軽井沢に移住。その後、新幹線で東京まで通勤しながらも、いつか自分の手でワイン造りをしたいという夢を育んできました。
2015年、小諸市で出会ったのは「後継者不足で伐採予定」のリンゴ畑。その景色を守りたい一心で畑を借り受け、シードル造りを始めたのが「アンワイナリー」の原点です。
初めてのシードルは2016年にリリースされ、以降、「次世代の人へ、“日本の田園風景や街並みを繋いでいきたい”という思いで、活動しています。」という信念のもと、地元と共に歩み続けています。
松村さんの父方の実家は広島県のみかん農家で、幼いころから農業や里山の風景が身近な存在でした。
「とにかく、このリンゴ畑の雰囲気が好きなんです。」と語る松村さんの言葉には、自然への愛情と未来への希望が込められています。
はつらつとした泡が広がるシードル
「アンワイナリー」のシードルは、松村さんの愛情と工夫が詰まった一品です。使用されるリンゴは「ふじ」や「つがる」、「しなのスウィート」など多品種で、食用リンゴならではの爽やかな味わいが特徴。
特に「アンシードルDry」は、辛口でキリッとした泡が食事によく合い、はつらつとした印象を与えます。
さらに、松村さんの「泡のお酒が好き」という思いから、シャンパーニュ品種を育てた発泡ワイン「アンの泡」も登場。この辛口スパークリングワインは、お寿司などの和食と相性抜群です。
第二の人生を地域と共に
松村さんにとって、アンワイナリーでの活動は「第二の人生」です。標高850mに位置する畑で育てるブドウやリンゴは、自然と調和しながら地域の魅力を未来へと繋ぐ役割を果たしています。
「田園風景を守りたい」という松村さんの情熱が、そのままシードルやワインの味わいに現れています。
松村さんのように、地域を愛し、未来を見据えた取り組みをする人々と出会うことで、私たちもまた新たな一歩を踏み出す勇気をもらえます。
アンワイナリーの泡に込められたエネルギーは、訪れるすべての人に希望と元気を与えてくれることでしょう。