勝沼の伝統と新たなグルーヴを紡ぐワイナリー
山梨県甲州市勝沼町にある「マルサン葡萄酒」。勝沼インターから車で3分の場所に位置するこのワイナリーは、家族経営の温かさが感じられる魅力的な場所です。
通りには「若尾果樹園」の看板が立ち、今もブドウ園として果物狩りを楽しめる姿が残っています。
マルサン葡萄酒の起源は昭和20年代、地域の農家が持ち寄ったブドウを使って共同でワインを作る醸造所でした。
現在の形になったのは、先代が個人ワイナリーとして再編した時から。
入り口に構える販売所は、どこか懐かしく味わい深い雰囲気で、訪れる人々を和やかに迎えます。
音楽とワインが融合する、若尾亮さんの哲学
現当主である3代目、若尾亮さんは、勝沼で育ちながらも20代は東京でミュージシャンとして活動していました。
音楽家としての感性を持ち、トロンボーン奏者としての顔も持つ亮さんにとって、音楽とワイン作りは切り離せない存在だと言います。
「発酵のうた」というライブでトロンボーンを演奏するなど、音楽活動とワイン作りが自然と融合している亮さんの哲学は、ワイナリーにも色濃く表れています。
醸造所や貯蔵庫には、ライブポスターやレコードが並び、訪れる人々に独特の温かみとリズムを感じさせます。
地元の味と現代的なアレンジの調和
マルサン葡萄酒では、地元で親しまれてきた甲州ブドウを大切にしつつ、亮さんならではのアレンジを加えたワイン作りが行われています。
例えば「醸し甲州」は、甲州ブドウの果皮を漬け込んで発酵させることで、通常の甲州ワインとは異なる深みと複雑さを持たせた一杯。
白ワインでありながら、オレンジワインのようなニュアンスを感じられるその味わいは、食事との相性も抜群です。
ラベルには若尾家の家紋「マルサン」がデザインされ、伝統と革新が詰まった一本となっています。
さらに、メルローとプティ・ヴェルドーをブレンドした赤ワイン「MIWAKUBO」は、家庭料理にぴったり。
昔ながらのラベルを復刻したデザインも特徴で、勝沼の風景を懐かしく思い出させてくれる一杯です。ラベルには勝沼の風景が描かれており、そのデザインも多くの人々に親しまれています。
日常を彩る、音楽のようなワイン
先代の頃から、地元の人々に愛される普段飲み用のワインを作り続けてきたマルサン葡萄酒。
その精神を受け継ぎながら、亮さんは新しい挑戦を重ねています。音楽と同じように、一つ一つのワインがそれぞれのグルーヴを持ち、飲む人の日常に寄り添います。
マルサン葡萄酒のワインは、家庭の冷蔵庫に常備したくなるような存在です。仕事終わりの晩酌や、家族との食事にぴったりな一本として、ぜひ楽しんでみてください。
その味わいは、音楽のようにあなたの心に響き、日常をちょっと特別なものに変えてくれるはずです。