畑から始まった、ストーリー
2025年2月中旬、宮城県川崎町にあるFattoria AL FIOREを訪問しました。仙台駅からバスに揺られること小一時間。川崎町の隣、村田町に仕事の用事があった親戚と合流し、車で向かいます。到着したのは、かつての支倉小学校の体育館を改装したというワイナリー。
迎えてくれたのは、目黒浩敬さんの奥さま・礼奈さんと、営業の鵜飼さん。目黒さんはイタリア出張中でしたが、あたたかな雰囲気の中で、ワイナリーの歩みと想いをたっぷり伺うことができました。
レストランから農とワインへ
Fattoria AL FIOREのはじまりは2014年。仙台で人気レストラン「AL FIORE」を営み、ドキュメンタリー番組『情熱大陸』にも出演した目黒さんが、「農業を中心としたコミュニティをつくりたい」との想いで川崎町に畑を開墾しました。2015年からワイン造りに挑み、2018年には旧支倉小学校の体育館を改装したワイナリーが稼働。今では年間5万本を手がける規模に
「ファットリア(農場)」という名は、農業こそが地域の未来を支える力になる、そんな信念の表れでもあります。
自然に寄り添い、つながりを育む
建築デザインの仕事をしていた奥さまの礼奈さんも、「もっと自然に近い暮らしをしたい」とパーマカルチャーを学び、目黒さんの理念に共感して川崎町へ。きっかけは「料理通信」に掲載されていた記事だったそうです。
Fattoria AL FIOREでは自社畑だけでなく、山形・高畠や南陽、上山など、周辺地域の生産者とも強い関わりを持ちながらワイン造りを行っています。時には、契約農家さんの畑作業を手伝い、自社畑の栽培のアドバイスを受け、年に一度は生産者が一同に集まるイベントも開催。Fattoria AL FIOREを中心にコミュニケーションの輪が生まれる姿が想像できました。
「楽しく、豊かに生きるツールとしてのワイン 」というさんの礼奈さんの言葉が印象的でした。礼奈さんとは、鎌倉・大船エリア出身だったこともあり、思わぬ地元トークで盛り上がりました。近い将来、鎌倉にお招きすることも!?
地域を元気に、未来をひらく
料理通信の記事を拝読する中で、わかったのですが、目黒さんの想いの根底には、2011年の東日本大震災で故郷・福島県新地町を失った経験があるそうです。その中で感じた、「人と人をつなぐ食の力」。
「各地域をもっと元気に明るく存続していくこと。そのためには第1次産業(農業)が豊かになること。それが、地域存続のために一番必要なことだと思います。」という記事にある目黒さんの言葉に、私たち「日本ワイン店じゃん」が大切にしている理念とも通じるものを強く感じました。
ワインは、単なる嗜好品ではなく、人の暮らしを豊かにし、そして、地域を支える力になる。未来にひらく懸け橋になると、そう強く感じる訪問でした。