北海道
ブラッスリー・ノット
経験豊富なクラフトマンが一から作り上げた、
こだわりのクラフトビール醸造所
クリアな一杯に導かれて。北海道・鶴居村へ
釧路湿原のそば、鶴居村にあるクラフトビール
醸造所「ブラッスリーノット」。牧草地と川に囲まれた自然豊かな村の一角に、廃校になった小学校を改装した醸造所があります。外観は、学校として使われていた当時の素朴な趣がそのままに残っています。
ブラッスリーノットのビールを口にしたとき、
雑味がなくクリアな味わいに「すごくおいしい…!」と驚きました。このおいしさをお店に来て下さる方にも味わってもらいたい──
そんな気持ちに突き動かされて、つくり手に会いに鶴居村を訪ねました。
論理と情熱のクラフトマン
そんな味わいを生み出しているのが、代表の植竹さん。大学で微生物や発酵について学び、「大好きなビールを自分の手でつくりたい!」と醸造の道へ進んだ、理系のクラフトマンです。
大学卒業後は、コエドビールで醸造を担当。その後は、理想の味を実現するためにあちこちに活動の場を移しながら、多種多様な経験を積んできたそうです。
自由度の高い小規模のブルワリーで新たな挑戦をしたり、富良野でホップ栽培を学んだり、海外のブルワリーに身を置いたり。味わいの可能性を追求する、その行動力には圧倒されてしまいます。
設備を見せていただき、ビールづくりへの情熱を聞く中で、植竹さんが積み重ねてきた経験の豊かさや、確かな自信が伝わってきました。
設備からすべて自分で設計。職人のこだわり工場
工場の設備は、なんと植竹さん自身が設計したフルオーダーメイド!この理想を形にできる広い場所を探していたときに出会ったのが鶴居村の廃校だったそうで、「なぜ廃校に?」という謎が解けました。
特徴は、4つの窯で工程を分ける「フォーベッセル構造」。一般的には同じ窯でいくつかの工程をまとめて行うところを、あえて一工程ずつ独立させ、ひとつひとつの工程を最適化することで、雑味がないのに深みがある、クリアな味わいが生まれるのだとか。さらに、ビールの大敵である酸化を抑えるため、設備設計の段階から「酸化率ゼロ」を目指すなど、品質管理も徹底しています。
ワインと比べると、クラフトビールはつくり手が介入できる余地が大きい世界。だからこそ、選び抜いた原料のポテンシャルを最大限に引き出すため、自分が理想とする設備そのものから作り上げてしまったのだといいます。
そこまでこだわる理由はシンプル。「クラフトビールは安いものではないので、買ってくれた人をがっかりさせたくない。品質を安定させるのは難しいが、ブレを極力なくすことで、値段以上のクオリティのものを届けたい」という想いから。こだわりの設備からは、モノづくり職人としての真摯な姿勢だけでなく、飲む人への想いも感じました。
土地・人・文化を結ぶ、ブラッスリーノットの味
鶴居村の自然や文化と深く結びついている点も、ブラッスリーノットのビールの魅力のひとつ。
醸造所のそばには川があり、従業員の方と一緒によく釣りを楽しむのだとか。従業員の方の多くは道外からの移住者ですが、みな自然を愛するメンバーばかりだそうです。
そんな日々の暮らしの中で育まれた、自然への繊細なまなざしは、商品にも息づいています。そのひとつが「ユキシロ」という商品名。春先にゆっくりと溶けていく雪を意味するそうで、北海道らしさはもちろん、自然の移ろいを丁寧に映したやさしさを感じます。
クリアな味わいは、「道東の空気に溶け込むような澄んだ味わい」というコンセプトが体現されたものだそう。おいしさだけでなく、そこに土地の空気や自然と共生する姿勢があることを知ると、同じ一杯でもまた違った深みを感じられる気がします。
醸造所の名前である「ノット」には、人・
カルチャー・自然との「結び目」のような存在でありたいという願いが込められており、「自分たちが暮らす土地の人々に、ビールを楽しむ文化を広げていきたい」という想いも語ってくれました。
ブラッスリーノットのビールは、北海道の自然や暮らしの空気を感じさせてくれるだけでなく、つくり手と私たち、そしてお店に来てくださる方をそっと結んでくれる一本になりそうです。