
スパークリングとシャンパンの違いとは?ペティアンやペットナットってどんなワイン?
「泡のワインっていろいろあるけど、違いがよくわからない…」発泡性ワインにはさまざまな呼び方や種類があり、最初は少し混乱するかもしれません。ひと口にスパークリングワインといっても、製法やスタイルの違いによって泡の質感や味わいにそれぞれ個性が表れます。この記事では、代表的なスパークリングワインの種類と、どんな違いがあるのかについて解説していきます。
目次
スパークリングワインとは?発泡性のワインの総称
スパークリングワインとは、炭酸ガス(二酸化炭素)を含んだ発泡性のワインの総称です。シャンパンが特に有名ですが、それ以外にも多くの種類があり、後ほど紹介する「ペティアン」や「ペットナット」もスパークリングワインの一種です。
スパークリングワインには、ワインの中に含まれる炭酸ガスの量を示す「ガス圧」という指標があります。一般的なスパークリングワインのガス圧は約3〜5気圧程度。数値が高いほど泡が強く、口に含んだときの刺激や爽快感が増します。アルコール度数は11〜12.5%前後のものが主流です。スタイルや製法によって幅があり、甘口タイプやナチュラル系ワインではもう少し低い度数のものもあります。
スパークリングワインとシャンパンの違い
スパークリングワイン=シャンパンと思っている方もいるかもしれませんが、それは少し違います。シャンパンとは、フランスのシャンパーニュ地方で厳格なルールに従って造られたスパークリングワインだけに許される名称です。この呼び名は「AOC(原産地統制呼称)」というフランスの法律で保護されており、産地や製法が基準を満たしていなければ、たとえ味がどれだけ似ていても「シャンパン」とは名乗れません。(詳しくは:ワインの原産地呼称制度とは?)
シャンパンの特徴
シャンパンに使用される主なブドウ品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3種類です。瓶内二次発酵(トラディショナル方式、またはシャンパーニュ方式)という伝統的な製法によって造られます。
発酵後も瓶の中で長期間熟成されるのが特徴で、一般的なものでも15ヶ月、ヴィンテージであれば36ヶ月以上かけて熟成させます。この時間をかけたプロセスが、他のスパークリングワインにはないクリーミーで持続性のある泡立ちや、深みのある洗練された味わいを生み出します。繊細な泡、複雑でエレガントな風味、そしてバランスの取れた酸味は、シャンパンならではの魅力です。
スタイルも実に多彩で、最も辛口の「ブリュット・ナチュール」から、「エクストラ・ブリュット」、「ブリュット」、「エクストラ・ドライ」、「セック」、「ドゥミ・セック」、そして最も甘口の「ドゥ」まで、7段階に分類されます。手間と時間をかけて造られているため価格帯はやや高めですが、品質や特別感の高さから、贈り物や記念日など特別なシーンにぴったりです。
ペティアン(ペティヤン)とは?
ペティアン(Pétillant)は、フランス語で「微発泡」を意味します。ガス圧は1〜2.5気圧程度と、一般的なスパークリングワインに比べて控えめで、柔らかく軽やかな口当たりが楽しめます。タンク内や瓶内での発酵によって自然に発泡する場合が多いですが、炭酸ガスを加えて爽快感を引き出すタイプ(カーボネーション方式)もあります。
味わいはフレッシュかつフルーティで、「スパークリングほど泡はいらないけどちょっとシュワっとしたものが飲みたい」時や、食前酒や昼飲みによく合います。クセが少なく親しみやすいため、ワイン初心者にもおすすめです。王冠で栓をされているものが多く、見た目も気取らないカジュアルさがあります。
<おすすめの日本ワイン>
● たこシャン
「地元名物たこ焼きに合わせるシャンパン」で「たこシャン」、その名前からも大阪らしさが感じられる、ユニークで親しみやすいワインです。除草剤を使わず手間ひまかけて育てられた地元産デラウェアぶどうを100%使用し、本格的なシャンパーニュ製法(瓶内二次発酵)で丁寧に仕上げられています。柑橘の爽やかな香りとキレの良い泡立ち、厚みのある果実味が特徴で、泡のきめ細かさと持続力も抜群。粉もんには欠かせないソースの甘みと相性抜群で、皆でわいわい食べるシーンでカジュアルに楽しめる一本です。

シャンパーニュ製法で丁寧に仕上げられ、泡のきめ細かさと持続力が抜群
● コレクションヴァンペティアン ヴェルデレー
山形県上山市産のヴェルデレーとスチューベンを使用した微発泡ワイン。スキンコンタクト(果皮を漬け込む製法)によるほのかな苦みが、ワインの芯となって旨さを引き立てます。ラフランスや青りんごを思わせる爽やかな香りとすっきりとした酸、軽やかな口当たりが特徴の辛口ペティアンは、シーンやペアリングを問わず合わせられる万能タイプ。瓶内で発酵させることで酵母が生み出した自然な泡を閉じ込め、澱や濁りが残るナチュラルな仕上がりです。澱の混ざり具合によって風味が変化するのも魅力のひとつ。

2,420円(税込)
ラフランスや青りんごの爽やかな香りとすっきりとした酸、
軽やかな口当たりの万能ペティアン
ペットナットとは?
ペットナット(Pet Nat)は、フランス語の「ペティアン・ナチュレル(Pétillant Naturel)」の略称で、英語では「ナチュラル・スパークリング」とも呼ばれる、ナチュラルワインの一種です。酸化防止剤(亜硫酸塩)を一切使用しない、もしくは最小限に抑えて造られ、野生酵母によって自然に発酵が進められるのが特徴です。
発酵の途中でワインを瓶詰めし、瓶の中でそのまま発酵を完了させる製法(アンセストラル方式)で仕上げられます。濾過や清澄処理を行わずに仕上げることが多いため、ワインの中に澱が残ったり、濁りのある見た目に仕上がることがあります。 ペティアンと同様に穏やかな泡で、ガス圧も1〜2.5気圧程度と軽やか。味わいは造り手やブドウ品種によって幅がありますが、ドライでミネラル感のあるタイプが多く、土っぽさや酵母由来の旨みがじわじわと広がります。
微発泡タイプという点ではペティアンと共通していますが、ペティアンは必ずしもナチュラルワインとは限りません。また、ペティアンがタンク内二次発酵やカーボネーションなど複数の製法で造られるのに対し、ペットナットは基本アンセストラル方式で造られます。そのため、味わいや見た目にも違いが生まれます。
<おすすめの日本ワイン>
● サン・スフル 白
「良いワインは良い葡萄から」をモットーに、土づくりから丁寧に取り組むワイナリーが手がける微発泡スパークリング。蔵王山麓で収穫された完熟デラウェアを100%使用し、選果にもこだわって仕込まれています。「サンスフル」はフランス語で亜硫酸無添加の意で、このワインも酸化防止剤を使わずに醸造されています。さらにろ過も行わず、ブドウ本来の素直な味わいがそのまま閉じ込められています。酵母が生み出すきめ細やかな泡がデラウェアのフレッシュな香りを引き立て、生食用デラウェアの甘いイメージを覆す、キレのある辛口に仕上がっています。ナチュラルワインならではのやさしさと、ほっとする落ち着きのある味わいが魅力です。

酵母由来の繊細な泡がデラウェアのフレッシュな香りを引き立てる、辛口の微発泡スパークリング
ペットナットの楽しみ方いろいろ
ペットナットの楽しみ方のひとつに、「飲めるまでの早さ」があります。一般的なスパークリングワインは瓶内で長期間熟成されてから出荷されますが、ペットナットは発酵途中で瓶詰めされるため、比較的早い段階で市場に出回ります。その年のブドウの特徴をいち早く味わえるという点では、ボージョレ・ヌーヴォーに通じる楽しみ方ができます。
また、スパークリングワインは泡が抜けると酸味が目立ち、味が単調に感じられることもありますが、ペットナットには糖分が完全に発酵しきっていない「残糖」がある場合が多く、果実の甘みが味わいを補ってくれます。そのため、泡が抜けてもやわらかく、丸みのある飲み口が保たれやすいという特徴があります。炭酸が抜けた状態で飲むことを好む人もいるなど、泡の有無に関わらず楽しめるスタイルです。
製法で違いがわかる!他のスパークリングワインもチェック
スパークリングワインは、「泡のあるワイン」という点では共通していますが、その泡をどのように生み出すか=製法の違いによって、味わいや質感が大きく変わります。シャンパンやペティアン、ペットナットのほかにも、さまざまな製法によるスタイルが存在し、泡の強さや味わいなど異なる個性を持っているので、飲み比べるとその違いをより深く楽しむことができるでしょう。購入する際にはラベルで製法もチェックしてみて下さい。
● シャルマ方式(タンク内二次発酵)
密閉されたステンレスタンクの中で二次発酵を行う方法。瓶ごとに発酵・熟成を行うシャンパーニュ方式と比べてコストが抑えられ、大量生産に向いています。果実味が際立つフレッシュな味わいのワインに適しており、イタリアのプロセッコなどが代表例です。
● カーボネーション方式(炭酸ガス注入)
カーボネーション方式は、完成したワインに炭酸ガスを直接注入する方法です。この方法は、瓶内二次発酵を行わずにワインを発泡させるために使用されます。ソーダと同じ原理で効率的に泡を加えることができるためコスパが高く、比較的リーズナブルな価格帯のスパークリングワインに多いです。泡は比較的しっかりとしていてやや粗めな傾向がありますが、原酒の質が良いとフレッシュ感と飲みごたえを兼ね備えたスパークリングに仕上がります。
<カーボネーション方式で仕立てたおすすめの日本ワイン>
● SMBA(サンバ)
千曲川を望む長野・須坂市の扇状地にある、受賞歴豊富な実力派ワイナリーが手がける辛口ロゼスパークリング「SMBA(サンバ)」。その名はサンジョヴェーゼとマスカット・ベーリーA(MBA)をブレンドしていることに由来します。まるで踊り出したくなるような、軽快で爽やかな味わいは暑い季節にピッタリ。軽めのボディながらエレガントさも感じられます。生ハムやシャルキュトリ、アジア料理とも好相性で、料理とともに楽しむことでさらに魅力が引き立ちます。

軽快で爽やかながらエレガントさのある味わいの辛口ロゼ
スパークリング
まとめ:シュワっとしたワインを、もっと気軽に楽しもう!
スパークリングワインと一口に言っても、そのスタイルや味わいは実にさまざま。それぞれに個性があり、シーンや気分にぴったり合う1本がきっと見つかります。名前の意味や製法を知ると、選ぶ楽しさもぐっと広がるはずです。まずは気になった1本を、気軽に手に取ってみてください。
「日本ワイン店 じゃん」では、全国のつくり手を訪問し厳選した100種類以上の日本ワインを取り扱っています。角打ち営業では、旬の食材と和の調味料を使った料理とのマリアージュもお楽しみ頂けます。日本中を旅するようにこのワインからあのワインへ、人に教えたくなるマリアージュの発見と、共感と感動を分かち合う仲間が出来るはず!ぜひお気軽にお越しください。

